この風潮どうにかならんか ー 今村復興相更迭に思う
4月26日、東北大震災をめぐる失言で、今村氏が復興相を更迭された。
失言とは、世に言う「東北で良かった」発言である。
この今村氏、4月4日の記者会見でも、とあるジャーナリストの挑発に対して憤り、会見を中断してしまった前例がある。(下動画の4:17辺りから)
あんな揚げ足をとるような質問をする方もする方だが、それに対して怒って冷静に対処できない方もどうかとは思った。
この会見を見る限り、今村氏という人は説明がとても下手だ。
頭でわかっていることを人に分かりやすく説明するのが、もともと苦手な人なのだろうと思われる。
さて、それはさておき、問題となる部分については、
「福島県を窓口にして、国もしっかりサポートしていく、サポートしていくことによって国は責任を果たしていきます」
と説明し、それでも、下らない質問をまだしてくるようなら、
「この質問に対してはもう答えました、他に質問はございませんか」
と切り捨ててしまえば、済んだ話だろう。
そのように冷静に対処すべきところを、記者の挑発にのって怒り出してしまったのは大人げなかった。
実際、このような会見の場に、悪意をもって相手を怒らせようと乗り組んでいる輩はいる。
会見の場で政治家が怒り出せば、それを、テレビやネットで見ている我々庶民は、自分が怒られているような気分になり、その政治家に悪印象を持ってしまう。
国民からの信頼を失墜させるために、このような会見の場で、政治家をわざわざ挑発するような輩がいるということを我々国民は肝に命じておかなくてはならない。
また、このような局面に際して、一方的にその政治家が悪いような印象を与える、マスコミの恣意的な報道についても鵜呑みにせず、自分なりに前後関係をよく把握した上で判断する程度の関心を、我々国民は常に持っておく必要があると思う。
そして政治家たるもの、このような挑発に乗らずに、常に冷静に対処するよう訓練されていなければならないのは、言うまでもないことだ。
さて、そんな前歴がある今村氏だが、更に加えて今回の失言もあって、安部首相も庇いきれなくなって、更迭ということになったわけだ。
しかし、失言は失言としても、それほど目くじらをたてるべきことなのか?
下の動画を見てもらいたい(問題の箇所は、0:52あたり)。
書き出してみると 「これはまだ東北でですね。あっちの方だったから良かった」といっている。
補足すると、「東北だったから、まだ被害が少なくて良かった」と言っているわけで、決して「東北で(震災が起きて)良かった」と言っているわけではない。
被害が少なかったのが、不幸中の幸いだった、と言うのが本心だ。
更に言えば、「東北で地震が起きた」ことが「良かった」のではなく、「被害が少なかった」のがまだ「良かった」、ということだ。
以上のことは話の文脈、前後関係から明らかだ。
しかし、それの言葉尻だけを捉えて、ワーワー、ギャーギャーとヒステリックに騒ぐ。
しかもあたかも、発言者が東北で地震が起きたことを喜んでいるかのような、「東北で良かった」という言葉だけが一人歩きする。
なんなんだろう、この幼稚で低劣な社会は。
こんな風に人の言葉尻をとらまえて、揚げ足をとって、相手を転ばせることの、どこが、社会正義なのか。
こんなの、なかなかうまい言い回しが思い付かなくて、ふと口をついて出てしまった良い間違いをとらまえて、大袈裟に騒ぎ立て、その失言者を一方的に非難する、一種の社会的ないじめだと言って良い。
しかし、大手のテレビ局や新聞社のほとんど全てが、この件を「東北で良かった」の言葉と共に一斉に報道した。
そして、私は小学生の頃のことを思い出すのである。
こんな同級生がいたなぁ、と。
どんなことかと言うと、そいつが、突然ぶってきたので、
「なんでぶつんだよ、何もしてないだろ」
と文句を言うと
「へぇ、何にもしてないって、じゃぁ、お前、息もしてないんだな。だったら、死んでるんだよな、お前。だったら、ぶってもいたくないよな」
と、またぶってくるのである。
わざわざ解説する必要もないと思うが、念のため、以下に示そう。
私が「何もしていない」と言っているのは、そいつに「ぶたれるような悪いことは何もしていない」という意味であり、前後関係からそれは明確である。
しかしそいつは悪意をもって文字通りの意味で、その言葉をとらえた。
すなわち、「何もしていない」=「息さえしていない」、更に言えば「心臓さえ動いていない」、だから死んでいると。
実際、マスコミや良識ある人々(とされる人々)のやっていることなんて、この小学生のやっていることとそんなに変わらないと思いませんか。
言葉尻をとらまえて、揚げ足をとって相手を非難する、この小学生レベルの社会的風潮に私はもう、本当にうんざりしているのである。
そして、マスコミに対して声を大にして言いたい。
こんな下らないことに労力を費やさないで、もっと他にやるべきことがあるだろう、と。
例えば、中国共産党によって、チベット、ウィグル、北モンゴルなどで行われている民族虐殺や断種政策の実態についてもっと深く切り込んで報道しろ。
北朝鮮で国民に行われている拷問についてもだ。
或いは、国内の事件についても、警察や検察の発表を鵜呑みにせず、独自の視点で切り込んで、手続き的に問題はないか、提示された証拠が本当に客観的な証拠足りうるのか、など検証して、疑義があれば、臆せず報道しろ。
それが、本来のマスコミの果たすべき役割だろ。
そうすれば、免罪事件はもっと減るんじゃないか。
本来果足すべき役割をきちんと果たそうとしない、マスコミのあり方にはとことん失望している。